「配車表が、専務の頭の中にしかない」
朝の配車が十五分で終わるのは、専務の頭に全部入っているからです。でも時間の上限が入った今、その頭の中の配車は成り立ちにくくなっています。何を先に書き出すかをお話しします。
※ この記事は、複数の事例を参考に構成したモデルケースです。特定の企業を指すものではありません。
朝、専務が配車を組みます。十五分ほどで終わります。
岩手県内の、車両二十台ほどの運送会社を思い浮かべてください。専務は先代の弟で、この会社に四十年います。ドライバーの顔も、荷主の癠も、道も、全部頭に入っています。
だから十五分で終わるのです。
配車表に書いていないこと
配車表を見せてもらうと、車番と行き先と時間が並んでいます。これだけ見ると、単純な割り当てに見えます。
書いていないのは、こういうことです。
この荷主には、あの人。 荷降ろしのとき細かい注文が出る。気が短い人を当てると揉める。
あの峠は、あの人しか行かない。 冬場、あの区間を夜に走れるのは二人だけ。
この時間は、無理をさせない。 前の日に長距離だった人には、翌朝の早発を当てない。
これは配車ではなく、判断です。そして判断の理由は、どこにも書かれていません。
上限規制が入って、頭の中の配車は成り立たなくなりました
これまでは、専務が全部知っていれば回りました。無理が出そうなときは、専務が自分で走ることもできました。
2024年4月から、自動車運転業務にも時間外労働の上限が入りました。無理でつじつまを合わせる余地が、制度として消えたということです。
そうなると、配車は「誰なら行けるか」ではなく「誰が何時間走ったか」から逆算する仕事に変わります。頭の中の記憶では足りません。数字が要ります。
そして数字が要るようになった瞬間、専務にしかできない仕事が、専務にもできない仕事に変わります。
若い人が入ってこない、という前提
全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業―現状と課題―」によると、トラック運転者の 約76%が40歳以上、29歳以下は 約1割 です。全産業の平均と比べても、若い人の比率が低い。
つまり、これから十年で辞める人の方が、入ってくる人より多い。
その前提で考えると、「専務が知っているから大丈夫」は、あと何年もちますか、という話になります。
属人的な配車は、人が足りているうちしか成り立ちません。
「システムを入れれば解決する」わけでもない
自動配車のシステムはあります。使っている会社もあります。
ただ、入れた会社の話を聞くと、うまくいっているところは共通して、入れる前に条件を書き出しています。この荷主にはこの制約、この人にはこの制約、と。
書き出していない会社が入れると、出てきた配車を専務が全部直すことになります。それなら手で組んだ方が早い、となって使われなくなります。
道具は、条件を書き出した会社にだけ効きます。
まず、今週断った仕事を三つ
書き出す入口として、おすすめしているのはこれです。
今週、断った仕事・組み替えた仕事を三つ思い出して、「なぜそうしたか」を一行書く。
断る判断には、その会社の条件が全部入っています。時間、車格、人、荷主との関係。うまくいった配車より、断った配車の方が、理由がはっきりしています。
三か月で三十六本。それが、会社の配車の条件表になります。
専務がいない日にも、朝は来ます
いつか専務は引退します。あるいは、明日体調を崩して休むかもしれません。
その日、朝の配車を誰かが組みます。組める材料が社内にあるかどうかで、その日の会社は変わります。
材料を作るのは、今日からでもできます。
👉 LINEで相談する 「うちの配車、何から書き出せばいいのか」と思ったら、お気軽にどうぞ。初回のご相談は無料です。